「過去問特集」コーナーでは、社会福祉士試験で過去に出題された試験問題と解答を掲載しています。過去問は自分の実力を試す際に、チャレンジすることもできますが、それ以上に「学習をこれから始める!」といった時期に活用するのが非常に効果的です。過去問を見れば、試験の傾向をつかむことができます。社会福祉士の学習を、これから始めようとしている方も、ぜひ一度、過去問を解いてください!
第27問
我が国のジェンダー・男女共同参画に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。
1. 「男女共同参画社会基本法」(平成11年)では、制度や慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響を、できる限り中立的なものにするよう配慮することが定められている。
2. 男女同一賃金の原則が初めて法律上規定されることになったのは、「男女雇用機会均等法」(昭和60年)においてである。
3. 「社会生活基本調査(平成18年)」(総務省)が示す数字では、共稼ぎ世帯においても、夫の家事時間は妻の家事時間の半分程度に留まっている。
4. 母親役割についての社会規範も影響し、「全国母子世帯等調査(平成18年度)」(厚生労働省)が示しているように、母子世帯の母親の就業率は極めて低い状態が続いている。
5. 女性パートタイム就労は家計補充手段として発達してきたので、現在でもその内容はごく一部の例外を除き、ほとんどが正規雇用労働者とは異なる単純な仕事である。
(注) 「男女雇用機会均等法」とは、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」のことである。なお、同法は「勤労婦人福祉法」(昭和47年)が全面改正されたものである。
第28問
福祉政策の手法に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。
1. 準市場(疑似市場)では、営利事業者の参入が認められず、非営利の事業者が価格に関する規制を受けずに相互に自由に競争する。
2. 特定補助金は、自治体の福祉行政の独自の展開を促進する有効な手段であることから、我が国では、福祉行政の地方分権化の推進のために、一貫して特定補助金の拡大が図られてきた。
3. バウチャーの支給という方式の長所は、現物給付方式の場合よりも、受給者に対して物品や事業者の選択を広く認めることができる一方で、現金給付方式のように支給されたお金が他の目的のために使われてしまうということが起きない点にある。
4. ニューパブリックマネジメント(NPM)の考え方では、新自由主義的な改革の行き過ぎの反省に基づき、民営化した施設の再公営化や、効率性より公平性を重視した行政運営を推進すべきものとされる。
5. 社会福祉の計画化の一環として老人福祉法では、市町村は在宅福祉サービス整備計画を、都道府県は施設福祉サービス整備計画を策定するものとされ、市町村と都道府県の分担関係が明らかにされている。
第29問
福祉供給部門と福祉供給制度に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。
1. 措置委託制度においては、通常、措置権者と受託事業者が両者の協議に基づいて取り決めた措置委託費を明記した契約書を取り交わすことで、サービスの提供が開始される。
2. 平成9年の児童福祉法改正により、認可保育所を、営利企業が設置できるようになった。
3. 利用者負担が低所得者層のサービス利用の阻害要因となるのを防ぐという観点から見ると、一般的に、福祉サービスの利用者負担の方式として、応能負担より応益負担の方が優れている。
4. 「ICA(国際協同組合同盟)の声明」によれば、協同組合は、自助,自己責任,民主主義,平等,公正,連帯の価値を基礎とし、コミュニティへの関与や組合員の経済的参加,民主的管理などを含め、7つの原則に従うとされる。
5. 平成17年の介護保険法改正に伴って創設された地域密着型サービスにおいては、地域福祉の推進の観点から、営利事業者の参入が厳しく制限されることとなった。
(注) 「ICA(国際協同組合同盟)の声明」とは、1995年の国際協同組合同盟全体給金において採択された協同組合のアイデンティティに関するICAの声明」のことである。
第30問
福祉政策の分析の基礎となる概念に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。
1. 政府の予算編成において、インクリメンタリズム(漸増主義あるいは増分主義ともいう)の原理が作用している場合には、合理主義的な予算編成の原理が作用している場合と比べて、行政分野ごとの予算額の構成比の変化が少なくなる傾向がある。
2. 社会福祉事業の経営者のアカウンタビリティとは、監査当局に対して、予算決算の会計報告に基づいて事業が適切に実施されたこと、また、予定外の支出があった場合、その原因と対処方法を説明することである。
3. 社会福祉におけるパターナリズムとは、政府が、福祉ニーズを持つ者の権利を尊重し、当人の意向に従ってきめ細かなサービスの旋供に努めるべきであるという理念を示す概念のことである。
4. 所得の水平的再分配とは、税制や社会保障制度を通じて、所得の高い人から低い人に所得を移転させることをいう。
5. 福祉サービスのプログラム(事業)に、費用便益分析の手法を通用する際には、2つ以上のプログラム(事業)を比較する必要がある。
第31問
労働政策に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。
1. 国際的な政策動向を跨まえ、我が国でも生活保護の受給者等を対象に「福祉から就労」に導く政策が国によって導入されたが、実質的には地方自治体の無料職業紹介機関が中心的役割を果たしてきた。
2. 労働市場政策は、しばしば積極的労働市場政策と消極的労働市場政策に分けられるが、職業訓練にかかわる政策は積極的労働市場政策の代表的なものの一つである。
3. 我が国の地域別最低賃金の水準は国際的に見ても高いため、生活保護の扶助水準との整合性の問題がしばしば指摘される原因となっている。
4. フレキシキュリティ戦略の代表であったデンマークモデルでの「黄金の三角形」は、①高い雇用保護法制のもとでの柔軟な労働市場,②失業時での手厚い所得保障,③相互信頼に基づく労使自治を構成要素としている。
5. 我が国では、従来、失業者を出すことを事前に回避することを主な目的とした雇用調整助成金制度が機能してきたが、企業が過剰な労働力を抱え込む恐れがあるという批判もあり、リーマンショック(2008年)後に廃止された。
第27問 1
第28問 3
第29問 4
第30問 1
第31問 2